CAM TECH BLOG

株式会社CAMのエンジニア・デザイナーの活動を綴るブログです

株式会社CAMの技術ブログです。 エンジニアとデザイナーの活動や組織文化を綴ります。

デザイナーの成長と事業の成長がリンクし、自走するデザイン組織 | CA BASECAMP 2019

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CAMで占い/ライフスタイル事業を中心にデザイナーのマネジメントをしている近藤です。

サイバーエージェント全社の技術カンファレンス『CA BASECAMP 2019』でCAMのデザイン組織の紹介と、どういう組織を目指して行きたいかについてお話しさせていただきました。当日話しきれなかったことの補足も含め、内容を紹介いたします。

 

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こちらでもし興味を持っていただけましたら、スライドの方も併せてご覧いただければ幸いです。

※記事としてまとめるに当たり、一部スライドから順序を再構成しています

Prologue

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自己紹介パートに入れていたムービーがSpeakerDeckでは見せられなかったので、本編に入る前に少し埋め込みにてご紹介。2004年にガラケーで撮影したものですが当時の画質がかえって新鮮。私は学生時代の専攻はデザインではなく、ファインアート〜現代美術をやっていました。その背景は今回の発表内容および普段のデザイナー組織マネジメントにも少なくない関係があります。

CAMという会社

CAM(シーエー・モバイルから2019/03/01に社名変更)はサイバーエージェント・グループの中でもダイレクトに売上・営利を意識してサービスを運用している会社です。全体での数字目標、事業部での数字目標、各サービスの数字目標。デザイナーも自分の担当サイトの売上や退会率、ARPUなどの指標を意識しており、それに基づいてディレクターと施策を作ったり、UIの改善提案をまとめたりしています。

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事業の核はファンビジネス占い&ライフスタイル。そして新たな新規事業も続々と準備中です。昨年9月までは広告事業、投資事業という大きな柱もあり、数字を積極的に意識する文化はその広告事業から広まったところがあるかも知れません。

Be a Fanatic.

Be a Fanatic.

今期のCAMが掲げているスローガンです。

数字を意識する、というと効率最優先でクールでセオリー通りのデザイン、サービス作りをしているようにも思われるかも知れません。しかし現場ではサービスの作り手、プロダクトの作り手として、自分たち自身がFanaticな情熱を持って仕事が出来る組織や文化、マインドが大事だと感じています。そうでないと続きませんから。

デザイン組織

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375の社員数に対し、デザイナーは29名、割合で言うと7.7%です。サービスの提供形態としてはスマホでの月額+従量課金形態のWebサービスが中心になっています。

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ファンビジネスではアーティスト、アイドルのファンに向けて、ライブツアーやイベントなどと連携してファンのニーズに最大限応えていくのが中心です。それぞれの世界観がファンとアーティストの共通言語になるので、それを活かしながら各施策やキャンペーン、デジタルコンテンツを作成しています。

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占い&ライフスタイルの場合は、ドームツアーや総選挙のような大きなイベントはあまりありませんので、継続的なUI/UX改善の積上げや広告での獲得最適化、自分たちでイベントを作っていくことが重要になってきます。デザイン的な自由度は比較的高いものの、「文言」もとても重要なので、長いテキストとデザインをどうバランス取っていくかなど、特有の難しさもあります。

最適化ノウハウと「センス残高」

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事業系、インハウスのデザイナーに共通するメリットとデメリット。事業成長のための最適化ノウハウがたまっていく、深く掘り下げていけるというメリットはあるものの、「なんか同じ事ばかりずっとしてる気がする」「自分は本当にデザイナーとしてスキルアップ出来ているのだろうか」「他の会社、事業でも通用するのだろうか」という悩みに陥る不安は常に抱えています。メンバーのデザイナーはもちろん、組織を見ている者にとっても向き合っていかないといけない課題です。

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昨年、note で話題になったモンブランさんの記事『デザイナーとしての「ゆるやかな死」』は読んだときにとても共感でき、「センス残高」という言葉はとてもしっくりときました。

社内に自分が関わってない多くのサービスがある

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自分の担当サービス、所属している事業部単位ではなく、会社全体に目を広げると多くのサービスが社内にあります。ここで紹介している「デザイナーロワイアル」や「天下一品」のような形式でいろんな部署のデザイナーで競い合うように社内のサービス改善提案を考えることは、デザイナーの提案力・分析力を上げることと、サービスの改善、そして事業特有の最適化ノウハウから離れて力試しをするという意味でとても有効です。参加デザイナーはいつものデザイン業務に加え、自分で時間をコントロールして課題に向き合うので負荷はかなりかかりますが、うまく向き合えたデザイナーが得るものは少なくありません。

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参考:

tech.cam-inc.co.jp

センス残高の貯金

展覧会ツアー

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よく議論になる「アート」と「デザイン」の違いについて、様々な意見や考察、見方がある中で自分が一つ思っているのは、「アート」は問題提起「デザイン」は課題解決ということです。アーティストは新しい価値観や社会の問題、審美の問いかけをそれぞれの作品やアクションにおいて「提起」します。デザイナーは機能やインターフェイスにおける課題、サービスのKPI、ビジネス成長のための課題を様々な手段で「解決」すべく動いています。

行為の目的はそれぞれで違いますが、どちらも作り手としては「用を足す」だけではない思いや葛藤、価値観がさらに加わってきたりします。

アートにおいては、「新しさ」は絶対ではありませんが大きな一つの価値です。

デザインにおいては、機能を「ミニマル」に備える美徳もありますが、相反して「装飾性」も支持されることがあり、どちらにしても「見栄え」はやはり重要な要素です。

サービスの使い勝手をよくしていく上でUIの洗練を考えていくとターゲットユーザー層が他に使っているサービスやアプリのUIルールを共通に取り込んでいく、合わせていくことはとても重要ですが、同時にアーティストや占い師の世界観をトンマナとして、コンテンツとして独自に表現、提案(アーティストにもユーザーにも)していくこともやっぱり重要です。

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デザインでの解決の引き出しを増やすためにも、そして同じ事業の同じサービスの洗練に向き合い続けて疲弊しないためにも、領域にとらわれないインプットや体験は特に意義のあるものと位置づけ、業務時間を使って「展覧会ツアー」に行かせてもらっています。美術家や写真家の視線に、ディズニー初期のアニメが生まれる背景に、ただ作品の楽しさに、刺激を受けてまた目の前のサービスと向き合っています。

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日常のインプット

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デザイナーに限らずですが、情報感度の高い人と低い人の差をどうやって組織的にカバーしていくかという問題。「この先生きのこるには」「そんなんじゃ生き残っていけないよ」というのは簡単ですが、組織としては、感度の低い人、情報収集が苦手な人を巻き込めるようなきっかけを作りたいと思います。Slackはこの上でとても便利で、業務上の連絡やディレクターとのやりとり、デザインのFBなどが行われているコミュニケーションツール上で常にデザイントピックが流れている状態というのはとても有効です。

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デザイナー定例でも自分の好きなもの発表をするようになって言語化のアウトプットへの苦手意識が少しはなくなってきたでしょうか。

他人の紹介したものへ否定的な意見を言わない

これを特にルールとした覚えはありませんが、みんな普通にこう考えているので、自分にない価値観に理解を示そうという、いい空気が自然に出来ている気がします。

センス残高の貯金

デザイナー評価と目標設定 〜 市場価値の高いデザイナーへ

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デザイナーのスキルマップ項目は、昨年の CA BASECAMPでの井上さんの発表『デザイナーが伸び悩まないためのスキル27分類』も参考にしながら、今のデザイナーに求められるスキルをできるだけ網羅したいと思い作成しています。人によっては、案件として関わらない項目も、ポジションとして求められていないものもありますが、事業貢献評価を別にしてスキルをどう客観的に評価していくか、そして今後のキャリアを考えていく上での一つの指標としてスキルマップを位置づけて面談などで使っています。

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デザイナーのスキルの中でも今、特に求められているもの、そして普遍的なスキルとして価値を持ち続けられるものというのはこの辺りです。課題解決のために、課題をどういう単位に分解して理解していくか、そのためにデザイナーとしてどうアクションを取っていくか、そしてそれを客観的にどう評価していくか。これをどう意識してもらうか。

自分の成長=サービスの成長

サービス成長に貢献=評価として返ってくる

所属する事業への貢献を評価するのはもちろんですが、それは単に「新規の難しいデザインをした」「あの施策のデザイン効果が高かった」ではなく、「チームの成長にいい影響を与えているかどうか」「サービスに新しい価値を持ち込めているかどうか」「サービスの成長を自分ゴトとして捉えて自分の成長に繋げられているか」を積極的に評価したいと思っています。サービスの成長をある意味、自分勝手に自分の成長機会として捉えて欲しいなと。どんどん積極的に動いて成長できているメンバーや、方向性に悩んでいるメンバーをどういう案件にアサインしていくかというのはデザイナー組織のマネージャーとして面白いところでもあり、腕の見せ所にもなってきます。

事業への最適化、ターゲットの最適化には終わりはありませんが、最適化が成熟していけば行くほど、サービスの数字的な成長は鈍化していきます。そこまで行って事業はやっと安定してくるのだとも思いますが、最適化の枠を自分たちで決めてしまって、狭めてしまっているのではないか、限界を勝手に決めてしまっているのではないかということも常に考えていきたいと思います。

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事業成長のための最適化ノウハウを貯めて成果を出しやすくなることと、自分の可能性やデザインの幅が広がらないのではないかという不安のアンビバレンス、これに向き合って市場価値を高められたデザイナーが事業成長にも必要、重要になってきます。

対話・コミュニケーションでサービス・プロダクトに向き合い続けることが必要

自走するデザイン組織へ

自走するデザイン組織」を意識するようになったのは、正直に言うと自分が忙しくなりすぎてマネージャーとしてやるべき事をやっていくのに限界を感じたときでした。それまでは部署としてのデザイン成果物の一つ一つに責任を感じすぎてコントロールしようとしすぎてしまったり、案件アサインも全部して、新規の方向性も考えて、ワイヤーフレームも自分で書いて、となっていました。その都度でのベストをチームとしてどう出していくか、これはもちろん大事ですが、もう少し中長期で見た場合にチームとしてどういうパフォーマンスを出せるかということを考えると、「自分でコントロールしない」というのがひとつ現実的かつ可能性のあるものとして見えてきました。

デザイン組織=デザインが生まれるコミュニケーションの場

自分の仕事はメンバーや成果物をコントロールするものではなく、メンバーが勝手に共有して、競争して成長して成果を出していく。そんな組織を「自走するデザイン組織」として目指して行きたいと思っています。

デザイナーの「文化」にする。大事!

最後に

スライドの補足と紹介のつもりだったのですが、スライドにまとめきれなかったことを書いていたら思いのほかボリュームが増えすぎてしまいました。最後まで読んでいただいた方ありがとうございます。

まだまだ本当は掘り下げて書きたいことがありますので、また機会があればまとめたいと思います。